2021.09.05
何より大切なのは、つづけていくこと。三鷹市上連雀の“町の自転車屋さん” | 大山自転車店
Z ZONEがおくる、“町の自転車屋さん” のインタビューシリーズ。
第八弾は、三鷹市上連雀にお店を構える大山自転車店さん。
三鷹駅から1.8kmほど、徒歩にして23分ほどの位置にあるこちらのお店。
小学校や中学校、高校など、近隣にはいくつもの学校が見られる場所に、大山自転車店さんがあります。
70年以上もの、とても長く深い歴史を持つ、大山自転車店さん。お父様の代からずっと三鷹の地でお店を続け、当時の苦労を身近で見てきたという店主・大山 雅晴さんに、今回取材をおこなうことができました。ぜひとも大山自転車店さんの想いに触れてみましょう。
“なんともないよ、あの頃に比べたら”
ー本日はよろしくお願いします!
大山自転車店の店主・大山 雅晴さん
大山さん:よろしくお願いします。こういう機会ってあまりないから、ちょっと緊張しちゃうね。
ーリラックスしてお話しいただけると嬉しいです! ではまず、お店の歴史について聞かせてください。
大山さん:わたしの父が戦争から帰ってきたタイミングで、オープンしたお店ですね。今から70年ほど前に。
ーその頃からずっと自転車屋さんとして営業されていたのですか?
大山さん:そうですね、自転車屋一筋で営業を続けてきました。当時は、三鷹の街も今のように都会的ではなくて。お店の前なんか、お茶畑だったんですよ。それほどに日本がまだ発展途上の段階で、みんながそれぞれ「頑張ろう」と思いながら暮らしていたんですよね。だからこそ、幼いながらにわたしも、父親の苦労を身近で見てきて。
ー苦労、ですか。
大山さん:当時は、タイヤのパンク修理が40円や60円の時代ですから。そもそも食べていくことが大変な時代だったんですよ。みんなお金が無い。今のように、「明らかな貧富の差」が無い社会でした。だって、誰もお金を持っていないんですから。そんななかで自転車屋さんとしての仕事を続ける父親の姿を思い出せば、今起きるどんなに辛いことも正直ヘッチャラなんですよね。「なんともないよ、あの頃に比べたら」と思えるんです。
大変な思いをしてきたからこそ、今がある
ーお店としてのこだわりは、どんなところがあるのでしょうか?
大山さん:お店って、時代に合わせて商売をやっていかなきゃならないんですよね。ただ、小さいお店であっても、続けさえすればきっとお客さんは来てくれる。うちの父親が、家で内職をしていたのをずっと覚えていますよ。自転車のお店を続けるために、裏で内職をして。そうして続けてきたお店を、僕の手で閉めるわけにはいかないですよね。
ーうんうん。
大山さん:大変な思いをした人間って、強いと思います。行動を続けていかなきゃならない。まっすぐにやり続ければ、きっとなんとかなる。お天道様は見てるんですよ。だからこそ、まっすぐ真摯に仕事をしていきたいですよね。
ーなるほど。たとえば、お店をやっていて「よかったなぁ」と思えるタイミングはどんな時ですか?
大山さん:歳をとってから、かなりそう思う機会は増えましたね。若い頃はがむしゃらにやっていくだけだったけれど、歳をとってくると、友達はみんな定年退職をしてぼーっとしているけれど、わたしは自分の店だから、ずっと働けるんです。やっぱり、これからもずっと自転車屋さんとして仕事をしていきたいです。
おわりに
取材中、たまたまお店に来たお客さまが一言、『やっぱり、大山さんだから話せることってあるんだよね』と話してくれたのが、すごくすごく印象的でした。お店としての魅力はもちろんですが、やはり、そこには「人」の存在が欠かせないのだなぁ、と。
はじめてお邪魔したにもかかわらず、私たち取材陣をあたたかく迎えてくださった店主の大山さん。ひたすらにこだわり、まっすぐ、まっすぐに仕事を続けていくことの大切さを改めて感じさせられた取材になりました。ぜひとも読者のみなさんも、そんな優しい大山さんに会いに行ってみてください。きっと、自転車のことだけでなく、たくさんの素敵なお話に触れられることでしょう。
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【Infomation】
店名:大山自転車店
住所:東京都三鷹市上連雀8-9-23
電話:0422-43-7810