2021.07.28
“せっかく乗るのなら、良いものを長く楽しんでほしい”。調布市深大寺の“町の自転車屋さん” | サイクルセンターすぎの
Z ZONEがおくる、“町の自転車屋さん” のインタビューシリーズ。
第六弾は、調布市深大寺にお店を構えるサイクルセンターすぎのさん。
三鷹駅、調布駅、久我山駅のちょうど真ん中あたりに位置しているこのお店。今回の取材では、50年ほどの長い歴史を持つこちらのお店の店長を務める杉野さんにお話を伺いました。自転車に対する静かながらも熱いこだわりと、その深い愛情について、ぜひお楽しみください。
草レースに出るほどの、一人の“自転車マニア” として
ー本日はどうぞよろしくお願いします!
サイクルセンターすぎの店長・杉野 全さん
杉野さん:よろしくお願いします。
ーこちらのお店は、何年ぐらい続いているお店なのでしょうか?
杉野さん:約50年ほどになる、と聞いています。さまざまな方に愛していただいて、若い方からファミリー層、シニア層の方まで、多くの方が来てくれますよ。メインで販売しているのは電動自転車なのですが、ビーチクルーザーやクロスバイク、マウンテンバイクなど、“通好み” のものも取り揃えていて。
ーたしかに、スポーツ系の自転車と一般的なものが並んでいるような印象がありますね。
杉野:僕自身、スポーツ系の自転車がすごく好きで。マウンテンバイクを、買ったり集めたり、乗るのが大好きなんですよね。昔はお客さんと “草レース” の大会に出場したこともあるぐらいなんです(笑)。
ーすごい! 大会に出るほどお好きなんですね!
杉野さん:そうなんです。ちなみにこれが僕の自転車なんですが、毎朝家から職場まで、11kmほどを自転車で通勤しているんですよ。
ー11kmを毎日………!?
杉野さん:30分くらいかけて、毎朝通っています。毎日乗りたいぐらい、やっぱり自転車が大好きなんですよね。ちょっと疲れちゃうけど、やっぱりなんといっても楽しいですから。「健康にも良い」と半ば無理やりに自分を納得させているけれど、実際「楽しい」の方が勝っちゃうんです(笑)。
“正直、うちの自転車は安くないと思います。でも、長く乗ってもらうことができる”
ーお店のこだわりとしては、どんなものがあるのでしょうか?
杉野さん:正直、あまり安いものは置いていません。22,800円が最低価格で。うちのメインとしては、一般自転車でも3,4万円、5万円ほどになってしまうんです。というのも、自転車って日常的に乗るものじゃないですか。だから、やっぱり長く乗ってもらいたいんですよね。
杉野さん:たとえばブレーキひとつを取り上げても、大きな音が鳴るとストレスになってしまう。日々使うものがストレスの原因になるのって、悲しいですよね。だからこそ、そうならないものを勧めるようにしています。せっかくならば、しっかりしたものに乗ってもらいたいですから。
ーきっとそれは、“納得感” とも言い換えられそうですね。
杉野さん:まさに、そうだと思います。量販店やインターネットを通じて買う自転車を「粗悪だ」とは言いたくないですが、やっぱり、そこには見出しづらいものとしての「質の高さ」を追求していきたいですし、自分も一人の自転車ファンとして、よりみなさんにも良い自転車体験をしてもらいたいなぁと思います。すべておなじ「自転車」だけれど、その内側に秘める「質」はそれぞれ違うものですし。そういった部分を、お客さまに対してどんどん伝えて行けたら良いなぁと思いますね。
おわりに
50年もの長い歴史を持ったお店で、ひとりひとりのお客さまに対して質の高い自転車を届ける、ということ。何かひとつのものが長く続けば続くほど、きっとそこには、“慢心” のようなものが見え隠れしても正直おかしくないと感じます。
ただ、杉野さんの静かに燃えるような声からは、そういったものは一切感じられませんでした。ただただひたむきに自転車を愛する心が、とてもまっすぐに感じられて。きっと、自転車好きの方はもちろんですが、まったく自転車に興味がない方もお邪魔してみてほしいなぁと思います。静かに燃える青い炎のような、杉野さんが自転車にかける想いに触れられるはずです。
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【Infomation】
店名:サイクルセンターすぎの
住所:東京都調布市深大寺東町6-39-15
電話:0424-87-2626