2021.09.07
愛する人は、愛される。地域を愛し、地域から愛されるお店。大田区萩中の“町の自転車屋さん” | サイクルセンターすぎやま萩中店
Z ZONEがおくる、“町の自転車屋さん” のインタビューシリーズ。
第十弾は、大田区萩中にお店を構えるサイクルセンターすぎやま萩中店さん。糀谷駅より約8分ほど歩いた場所にあるこちらのお店は、大きな荻中公園と環八通りのちょうど真ん中あたりに位置しています。
中学校や保育園、児童公園など、家族連れの方が暮らすのにぴったりな街・荻中。そんな場所で3つの店舗を運営しているというサイクルセンターすぎやま萩中店さんが抱く想いについてインタビューをおこないました。ぜひともお楽しみくださいね。
「やるべきことをやる」という、もっとも基本的で、もっとも大切なこと
ー今日はどうぞよろしくお願いします!
サイクルセンターすぎやま萩中店の店主・杉山 高久さん
杉山さん(店主):よろしくお願いします!
ーこちらのお店には自転車のパーツ類が多いような気がするのですが、特段意識はされているのでしょうか?
杉山さん:それについて言えば、たとえば渋谷などの都会だと、クロスバイクだったりピストバイクだったり、ストリートっぽい自転車に乗っている人が多いと思うんですよ。
ーほうほう。
杉山さん:なんせここは片田舎だから、あんまりそういう自転車に乗っている方っていないんですよね。だからこそ、このお店はファミリー・キッズ用の自転車をご用意していて。
ーなるほどなるほど。
杉山さん:僕たちは他にも2つの店舗を持っているのですが、それぞれクロスバイク、ロードバイクと棲み分けをしているんです。こんな片田舎にも、やっぱりカッコいい自転車に乗りたい方はいますからね。希望でもあるんですけど(笑)。
ーただ、きっとそれって「地域のことを深く考えていること」だとも言い換えられそうですよね。自分たちのエゴで商品を揃えていない、というか。
杉山さん:うーん、優しく言い換えるとそうなるかもしれませんね(笑)。やっぱり、適材適所ってあると思うんです。「僕たちがやるべき仕事」は確かにあるし、「都会の自転車屋さんがやるべき仕事」もある。自分たちの仕事を真面目にやっていけたら一番良いですよね。
こだわって、こだわって。工賃度外視でもこだわり抜く姿勢を
ーそれで言うと、お店の「こだわり」ってどんなところにあるんでしょうか?
杉山さん(奥様):この人、こう見えてすごくこだわりの強い人なんですよ。
ーおっ。どんなこだわりですか?
杉山さん(奥様):以前、お客さまで、自転車のレストア(修理)をご依頼してくださった方がいて。ただ、彼(店主の高久さん)がどんなに手を加えても、なかなか直らなかったんです。ほんと、一日中ず〜っと修理してたよね。
杉山さん(店主):いやー、ちょっと恥ずかしいな(笑)。
杉山さん(奥様):本当にず〜っと修理を続けていて。その結果、「そっか、これはこういう自転車なんだ!」って。とにかく自分が理解できるまでやり続けるんです。なおかつ、自分が納得できない修理の出来であれば、お金をもらわないんですよね。そのお客さまにも「3,000円でお願いします」って。
ーえっ、一日中修理していたのに!?
杉山さん(店主):だって、自分のせいですもん。それに、もっともっといろんな自転車を見てみたいんですよね。だから、特にそんな、お代は最低限で良いんです。
ーそれって、すごいことですよね。お仕事として受けて、真剣に修理をおこなうのに、もちろん最低限の「お代」はあれど多くはいただかない。なんだか「趣味を仕事にする」ってそういうことなのかもなぁと感じます。
杉山さん(奥様):だからお金にならないんだ、って何度言ったことか(笑)。でも、そういう主人がお店を続けていられることをすごく幸せに思います。
おわりに
お二人による、愛情あふれる掛け合いに触れて、「このお店は絶対に良い場所だ」と確信しました。終始和やかで、柔らかで、穏やかな時間が流れる空間。それはきっと、お二人だからこそなしえるものなのだ、と。確かな愛情をまっすぐお客さまに伝えていくこと。その重要性を改めて感じる取材となりました。
ひとつ余談にはなりますが、お店のテーブルにはたくさんのお菓子が置かれていて。
「これはどうされたんですか?」と聞くと、店主の杉山さんが一言『お客さんがいっぱい持ってきてくれたんだよね、ありがたいよなぁ』と。
やはりきっと、愛する人は愛されるのだ、と感じます。地域を愛し、地域から愛される。そんなサイクルセンターすぎやま萩中店に、ぜひとも読者のみなさまも足を運んでみてください。
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【Infomation】
店名:サイクルセンターすぎやま萩中店
住所:東京都大田区荻中2-5-13
電話:03-3741-1818